はじめに
マンションやビルなどの給水設備では、建物の上階まで安定して水を届けるために「ブースターポンプ」という設備が使用されます。
特に高層建築物では、水道本管の圧力だけでは必要な水圧を確保できないため、ポンプによって圧力を補う必要があります。
ブースターポンプは、
- 増圧給水設備
- 直結増圧給水方式
- 高層マンションの給水設備
などで重要な役割を持っています。
この記事では、現場監督や設備担当者向けに、ブースターポンプの役割・仕組み・種類・給水ポンプとの違い・施工時の注意点についてわかりやすく解説します。
ブースターポンプとは?
ブースターポンプとは、水道本管や受水槽から供給される水の圧力を高め、建物内の必要な場所へ給水するための加圧ポンプです。
「ブースター(Booster)」には、「押し上げる」「増強する」という意味があります。
つまりブースターポンプとは、
不足している水圧を補って、安定した給水を行うためのポンプ
です。
日本では、
- 増圧ポンプ
- 増圧給水ポンプ
- 直結増圧ポンプ
などとも呼ばれます。
ブースターポンプが必要な理由
① 高層階へ水を届けるため
水道本管の圧力だけでは、高層階まで十分な水圧を確保できない場合があります。
例えば、
- 低層階では水が出る
- 高層階では水圧が弱い
という問題が発生します。
ブースターポンプによって圧力を補うことで、建物全体へ安定した給水が可能になります。
② 使用量の変化に対応するため
建物では時間帯によって水の使用量が変化します。
例:
朝:
- トイレ使用
- 洗面
- シャワー
↓
使用水量が増加
昼間:
- 使用量減少
ブースターポンプは水使用量に応じて運転を制御し、必要な圧力を維持します。
③ 受水槽をなくせる場合がある
直結増圧給水方式では、水道本管にブースターポンプを接続することで、
- 受水槽
- 高置水槽
を設置せずに給水できる場合があります。
メリット:
- 水質管理が容易
- 水槽スペース不要
- 清掃管理が不要
などがあります。
ブースターポンプの仕組み
ブースターポンプは、一般的に複数台のポンプと制御装置で構成されています。
主な構成部品:
- ポンプ
- 電動機
- 制御盤
- 圧力センサー
- 逆止弁
- 配管ユニット
動作の流れ
① 水道本管または受水槽から水が流入
↓
② 圧力センサーが水圧を検知
↓
③ 水圧不足を判断
↓
④ ポンプが自動運転
↓
⑤ 水圧を加えて建物へ送水
↓
⑥ 使用量に応じて回転数や台数を制御
という仕組みです。
ブースターポンプの制御方法
① インバーター制御
現在のブースターポンプでは多く採用されています。
水使用量が少ない時:
↓
モーター回転数を下げる
水使用量が多い時:
↓
回転数を上げる
ことで、必要な圧力を維持します。
メリット:
- 省エネルギー
- 水圧変動が少ない
- ポンプ寿命向上
② 台数制御
複数台のポンプを組み合わせる方式です。
例:
使用量小
→ 1台運転
使用量大
→ 2台・3台運転
として効率的に給水します。
ブースターポンプの種類
① 直結増圧給水ポンプ
水道本管に直接接続するタイプです。
特徴:
- 受水槽不要
- 衛生管理が容易
- 中小規模建物で多い
用途:
- マンション
- 事務所ビル
- 店舗
など。
② 受水槽加圧ポンプ
受水槽の水をブースターポンプで加圧する方式です。
特徴:
- 安定した給水が可能
- 大規模建物向き
用途:
- 病院
- 学校
- 商業施設
など。
③ 多段式ブースターポンプ
複数の羽根車を持つポンプです。
特徴:
- 高い圧力を発生できる
- 高層建築向き
- コンパクト
ブースターポンプと給水ポンプの違い
| 項目 | ブースターポンプ | 給水ポンプ |
|---|---|---|
| 目的 | 水圧を補助する | 水を送る |
| 主な用途 | 増圧給水 | 給水設備全般 |
| 接続 | 水道本管・受水槽 | 受水槽など |
| 特徴 | 圧力制御が重要 | 送水能力が重要 |
簡単にいうと、
ブースターポンプ=不足する水圧を補うポンプ
給水ポンプ=水を必要場所へ送るポンプ
です。
ブースターポンプと揚水ポンプの違い
| 項目 | ブースターポンプ | 揚水ポンプ |
|---|---|---|
| 目的 | 水圧を増強する | 水を高所へ送る |
| 代表方式 | 直結増圧給水 | 高置水槽方式 |
| 送り先 | 各階給水器具 | 高置水槽 |
ブースターポンプ設置時の注意点
① 水道本管の条件を確認する
直結増圧方式では、水道本管の、
- 水圧
- 水量
- 管径
を確認する必要があります。
条件によっては採用できない場合があります。
② 逆流防止対策を行う
ブースターポンプでは、水道本管への逆流を防止する必要があります。
そのため、
- 逆止弁
- 逆流防止装置
を設置します。
③ 防振対策を行う
ポンプ運転時には振動が発生します。
対策:
- 防振架台
- 防振ゴム
- フレキシブルジョイント
を使用します。
④ 点検スペースを確保する
ブースターポンプは制御機器を含むため、点検性が重要です。
確認事項:
- 制御盤前のスペース
- バルブ操作スペース
- ポンプ交換スペース
⑤ 凍結対策を行う
屋外設置の場合は、
- 保温
- ヒーター
- 防寒対策
が必要です。
ブースターポンプの故障原因
水圧が低い
原因:
- ポンプ能力不足
- 圧力センサー異常
- 配管詰まり
ポンプが頻繁に起動停止する
原因:
- 圧力設定不良
- 流量不足
- センサー異常
異音や振動がある
原因:
- エア噛み
- キャビテーション
- 軸受劣化
現場監督が確認すべき施工ポイント
施工管理では以下を確認します。
✅ 機器仕様確認
✅ 給水方式確認
✅ 水道本管条件確認
✅ ポンプ設置位置確認
✅ 逆止弁取付確認
✅ フレキシブルジョイント確認
✅ 防振施工確認
✅ 電源・制御確認
✅ 試運転時の圧力確認
特に直結増圧方式では、水道局の施工基準や認定条件を満たしているかを確認することが重要です。
まとめ
ブースターポンプとは、水道本管や受水槽から供給される水の圧力を高め、建物内へ安定した給水を行うための加圧ポンプです。
主な役割は、
- 高層階への給水
- 水圧不足の解消
- 安定した給水
- 受水槽レス化
です。
現代のマンションやビルでは、直結増圧給水方式の採用が増えており、ブースターポンプは重要な給水設備となっています。
現場監督としては、
「給水方式」「必要圧力」「逆流防止」「防振施工」「試運転確認」
を押さえることが、給水トラブル防止につながります。
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