はじめに
建築設備工事では、給水設備や空調設備、冷温水設備などで「ポンプ」が多く使用されています。
その中でも、最も一般的に使用されているポンプのひとつが**渦巻ポンプ(うずまきポンプ)**です。
渦巻ポンプは、
- 冷温水循環ポンプ
- 給水ポンプ
- 冷却水ポンプ
- 揚水ポンプ
など、さまざまな設備で採用されています。
この記事では、現場監督や設備担当者向けに、渦巻ポンプの仕組み・種類・用途・設置時の注意点についてわかりやすく解説します。
渦巻ポンプとは?
渦巻ポンプとは、羽根車(インペラ)を回転させ、その遠心力によって液体に圧力と流れを与えるポンプです。
英語では、
「Centrifugal Pump(遠心ポンプ)」
と呼ばれます。
ポンプ内部で水を回転させることで、
- 吸込み
- 昇圧
- 送り出し
を行います。
建築設備では最も普及しているポンプ形式で、多くの現場で使用されています。
渦巻ポンプの仕組み
渦巻ポンプは主に以下の部品で構成されています。
- 電動機(モーター)
- 軸(シャフト)
- 羽根車(インペラ)
- ケーシング
- 吸込口
- 吐出口
動作の流れ
① モーターが回転する
↓
② 軸を通じて羽根車が回転する
↓
③ 羽根車の遠心力によって水が外側へ押し出される
↓
④ ケーシング内で速度エネルギーが圧力エネルギーへ変換される
↓
⑤ 吐出口から加圧された水が送り出される
という仕組みです。
渦巻ポンプの特徴
渦巻ポンプには以下のような特徴があります。
① 大きな流量を送れる
渦巻ポンプは、大量の水を連続的に送ることが得意です。
そのため、
- 空調循環設備
- 冷却水設備
- 給水設備
などで多く使用されます。
② 構造がシンプル
部品点数が比較的少なく、
- 保守しやすい
- 長寿命
- 信頼性が高い
というメリットがあります。
③ 幅広い用途に対応できる
流量や揚程に応じて多くの種類があり、建築設備では標準的なポンプとして使用されています。
渦巻ポンプの種類
渦巻ポンプは構造によっていくつか種類があります。
① 片吸込渦巻ポンプ
最も一般的なタイプです。
羽根車の片側から水を吸い込む構造になっています。
特徴:
- 構造が簡単
- 小〜中容量向き
- 建築設備で多く使用
用途:
- 冷温水循環ポンプ
- 給水ポンプ
- 冷却水ポンプ
など。
② 両吸込渦巻ポンプ
羽根車の両側から水を吸い込むタイプです。
特徴:
- 吸込力が均等
- 大流量に対応可能
- 軸方向の力が小さい
用途:
- 大型空調設備
- 工場設備
- 大規模施設
など。
③ 立形渦巻ポンプ
ポンプ軸が垂直方向になっているタイプです。
特徴:
- 設置面積が小さい
- 機械室の省スペース化に向く
用途:
- ビル設備
- 商業施設
- 高層建築
など。
④ 横形渦巻ポンプ
ポンプ軸が水平になっているタイプです。
特徴:
- メンテナンスしやすい
- 大型設備で使用される
用途:
- 熱源設備
- 工場設備
など。
渦巻ポンプの主な用途
① 冷温水循環ポンプ
空調設備では代表的な用途です。
冷凍機やボイラーで作った冷温水を、
- 空調機
- ファンコイルユニット
へ循環させます。
② 給水ポンプ
建物へ水を送るために使用します。
例:
- 高架水槽への揚水
- 加圧給水設備
- 増圧給水設備
など。
③ 冷却水ポンプ
冷凍機の冷却水を循環させます。
使用場所:
- 冷却塔
- 冷凍機
など。
④ ボイラー循環ポンプ
温水ボイラー設備では、温水を循環させるために使用されます。
渦巻ポンプと他のポンプの違い
渦巻ポンプと往復ポンプの違い
| 項目 | 渦巻ポンプ | 往復ポンプ |
|---|---|---|
| 方式 | 回転式 | 往復運動式 |
| 流量 | 大流量向き | 小流量向き |
| 圧力 | 中程度 | 高圧向き |
| 用途 | 空調・給水 | 特殊設備 |
渦巻ポンプとラインポンプの違い
| 項目 | 渦巻ポンプ | ラインポンプ |
|---|---|---|
| 設置 | 床置きが多い | 配管途中 |
| 容量 | 中〜大型 | 小〜中型 |
| 用途 | 機械室設備 | 循環設備 |
※ラインポンプも渦巻ポンプの一種です。
渦巻ポンプの選定ポイント
ポンプを選定する際は、以下の条件を確認します。
① 流量
1時間あたり、どれだけ水を送るかを確認します。
単位:
- L/min
- m³/h
など。
② 揚程
揚程とは、ポンプが水を押し上げる能力を示す値です。
単位:
- m
で表します。
例:
揚程30mのポンプ
=水を30m分の圧力で送れる能力
③ 使用温度
冷水・温水によって対応できるポンプが異なります。
④ 材質
流体によって、
- 鋳鉄
- ステンレス
- 樹脂
など材質を選定します。
渦巻ポンプ設置時の注意点
① エア噛みに注意する
ポンプ内部に空気が入ると、
- 流量低下
- 異音
- 振動
- 空運転
の原因になります。
運転前には十分なエア抜きを行います。
② 吸込側の配管を適切に施工する
ポンプ吸込側では、
- 急な曲がりを避ける
- 配管径を小さくしない
- 空気溜まりを作らない
ことが重要です。
③ キャビテーションを防止する
キャビテーションとは、ポンプ内部で気泡が発生し破裂する現象です。
原因:
- 吸込圧力不足
- 流量過大
- 配管抵抗増加
対策:
- 適切なポンプ選定
- 吸込条件確認
が必要です。
④ 防振対策を行う
ポンプは運転時に振動が発生します。
そのため、
- 防振架台
- 防振ゴム
- フレキシブルジョイント
などを使用します。
渦巻ポンプの故障原因
流量が出ない
原因:
- エア噛み
- 回転方向違い
- 吸込配管詰まり
異音・振動が発生する
原因:
- キャビテーション
- 軸受摩耗
- 据付不良
漏水する
原因:
- メカニカルシール劣化
- ガスケット不良
- 軸振れ
現場監督が確認すべきポイント
施工管理では以下を確認します。
✅ ポンプ仕様書との照合
✅ 流量・揚程確認
✅ 回転方向確認
✅ 基礎・架台施工確認
✅ フレキシブルジョイント取付確認
✅ 配管荷重がポンプに掛かっていないか確認
✅ 試運転時の電流値確認
✅ 異音・振動確認
特に重要なのは、配管の重量をポンプ本体で受けないことです。
配管荷重がかかると、軸ズレや漏水の原因になります。
まとめ
渦巻ポンプとは、羽根車の遠心力を利用して水に圧力を与え、循環・送水する最も一般的なポンプです。
主な用途は、
- 冷温水循環
- 給水設備
- 冷却水設備
- ボイラー循環
など、建築設備では幅広く使用されています。
現場管理では、
- 流量
- 揚程
- エア噛み対策
- 防振施工
- 配管荷重対策
を確認することが重要です。
渦巻ポンプは空調・衛生設備を支える中心的な機器であり、正しい施工と管理によって安定した設備運転につながります。
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