はじめに
建物で水を使用するためには、水道本管から供給された水を必要な場所まで届ける必要があります。
しかし、高層建築物や大規模施設では、水道管の圧力だけでは十分な水を供給できない場合があります。
そこで使用されるのが給水ポンプです。
給水ポンプは、
- マンション
- オフィスビル
- 病院
- 学校
- 商業施設
など、多くの建物で使用されています。
この記事では、現場監督や設備担当者向けに、給水ポンプの役割・仕組み・種類・設置時の注意点についてわかりやすく解説します。
給水ポンプとは?
給水ポンプとは、建物内へ必要な水量と水圧で給水するためのポンプ設備です。
水道本管や受水槽から水を吸い上げ、各階や各設備へ送る役割があります。
主な設置場所:
- 地下機械室
- ポンプ室
- 受水槽周辺
- 屋上設備スペース
など。
建物の規模や用途によって、さまざまな給水方式が採用されています。
なぜ給水ポンプが必要なのか?
一般的な低層住宅では、水道本管の圧力だけで給水できる場合があります。
しかし、建物が高くなると、
- 上階まで水が届かない
- 同時使用時に水圧が低下する
- 必要な水量を確保できない
といった問題が発生します。
そこで給水ポンプによって水を加圧し、建物全体へ安定した給水を行います。
給水ポンプの役割
① 建物内へ水を送る
給水ポンプの基本的な役割は、水を必要な場所へ送ることです。
例えば、
- トイレ
- 洗面器
- 流し台
- シャワー
- 給湯設備
などへ適切な圧力で水を供給します。
② 必要な水圧を確保する
高層階では水圧が不足しやすいため、給水ポンプで圧力を加えます。
これにより、
- 蛇口から十分な水量が出る
- シャワーの水圧が安定する
- 機器が正常に作動する
ようになります。
③ 安定した給水を維持する
建物では時間帯によって水の使用量が変化します。
給水ポンプは、
- 使用量が少ない時
- 使用量が多い時
に合わせて運転を制御し、安定した給水を行います。
給水ポンプの仕組み
給水ポンプには一般的に渦巻ポンプが使用されます。
基本的な流れは以下の通りです。
① 水源(受水槽など)から水を吸込む
↓
② モーターで羽根車(インペラ)を回転させる
↓
③ 遠心力によって水に圧力を与える
↓
④ 配管を通じて建物内へ送水する
という仕組みです。
給水ポンプの種類
給水ポンプは給水方式によって種類が分かれます。
① 加圧給水ポンプ方式
受水槽の水をポンプで加圧して、建物内へ給水する方式です。
特徴:
- 安定した水圧を確保できる
- 中規模〜大規模建物で使用される
用途:
- マンション
- オフィスビル
- 学校
など。
② 増圧給水ポンプ方式
水道本管の圧力を利用しながら、不足分をポンプで補う方式です。
特徴:
- 受水槽が不要
- 省スペース
- 水質管理がしやすい
主に、
- 中小規模マンション
- 事務所ビル
などで採用されます。
③ 高置水槽方式
ポンプで屋上などの高置水槽へ水を送り、重力によって各階へ給水する方式です。
特徴:
- 水圧が安定しやすい
- 停電時でも一定時間給水可能
ただし、
- 屋上スペースが必要
- 水槽管理が必要
というデメリットがあります。
④ 直結給水方式
水道本管から直接建物へ給水する方式です。
特徴:
- 受水槽不要
- 衛生管理が容易
ただし、水道本管の圧力や建物高さによって採用できる範囲が決まります。
給水ポンプの主な種類
① 横形渦巻ポンプ
床置き型で、大型設備に多く使用されます。
特徴:
- 大容量向き
- メンテナンスしやすい
② 立形多段ポンプ
羽根車を複数段重ねたポンプです。
特徴:
- 高い圧力を出せる
- 高層建築向き
- 省スペース
用途:
- 高層マンション
- ビル給水設備
など。
③ ユニット型給水ポンプ
複数台のポンプや制御盤を組み合わせた設備です。
特徴:
- 自動制御可能
- 使用水量に応じて台数制御できる
現在の建物では多く採用されています。
給水ポンプと揚水ポンプの違い
似た言葉に「揚水ポンプ」があります。
| 項目 | 給水ポンプ | 揚水ポンプ |
|---|---|---|
| 目的 | 使用場所へ水を送る | 水槽へ水を上げる |
| 用途 | 建物内給水 | 受水槽→高置水槽 |
| 設置場所 | 給水設備 | 揚水設備 |
ただし、現場では給水用ポンプを総称して揚水ポンプと呼ぶ場合もあります。
給水ポンプ設置時の注意点
① 吸込配管を適切に施工する
ポンプ吸込側では、
- 空気溜まりを作らない
- 配管径を小さくしない
- 急激な曲がりを避ける
ことが重要です。
吸込不良は、
- 流量不足
- 異音
- キャビテーション
の原因になります。
② 防振対策を行う
ポンプは運転時に振動が発生します。
そのため、
- 防振架台
- 防振ゴム
- フレキシブルジョイント
などを設置します。
振動が配管や建物へ伝わることを防ぎます。
③ 配管荷重をポンプにかけない
給水ポンプ接続時は、配管の重量がポンプ本体へかからないよう注意します。
配管荷重がかかると、
- 軸ずれ
- 漏水
- ポンプ故障
の原因になります。
④ 逆止弁を設置する
給水ポンプ吐出側には、通常逆止弁を設置します。
目的:
- 水の逆流防止
- ポンプ保護
- 圧力維持
⑤ メンテナンススペースを確保する
ポンプ周辺には、
- 点検スペース
- 分解スペース
- バルブ操作スペース
を確保します。
給水ポンプの故障原因
水が出ない
原因:
- 電源異常
- 回転方向違い
- エア噛み
- 吸込不足
圧力が上がらない
原因:
- ポンプ摩耗
- 羽根車異常
- 配管詰まり
- 流量不足
異音・振動がある
原因:
- キャビテーション
- 軸受摩耗
- 据付不良
- 防振不良
現場監督が確認すべき施工ポイント
施工管理では以下を確認します。
✅ ポンプ仕様(流量・揚程)の確認
✅ 設置位置・基礎確認
✅ 吸込・吐出配管確認
✅ 逆止弁取付確認
✅ フレキシブルジョイント確認
✅ 防振施工確認
✅ 回転方向確認
✅ 試運転時の圧力確認
特に試運転では、
- 異音
- 振動
- 漏水
- 圧力値
を確認することが重要です。
まとめ
給水ポンプとは、建物内へ必要な水量と水圧で水を供給するための重要な設備機器です。
主な役割は、
- 建物内への送水
- 必要な水圧の確保
- 安定した給水
- 高層階への給水
です。
給水ポンプは、マンションやビルなどの建築設備に欠かせない機器であり、正しい選定・施工・管理によって安全で快適な給水環境を維持できます。
現場監督としては、
「流量」「揚程」「防振」「配管荷重」「試運転確認」
を押さえることが、給水設備トラブル防止のポイントです。
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