はじめに
オフィスビルや商業施設などの大規模建築物では、部屋ごとに異なる空調負荷に合わせて風量を調整する必要があります。
例えば、
- 人が多い会議室
- 日射の影響を受ける窓際
- 使用人数が少ない部屋
では、必要な空調量が異なります。
そこで使用される設備が**VAV(Variable Air Volume)**です。
VAVは、空調ダクト内を流れる空気量を自動制御することで、室内の温度を効率よく管理する空調制御機器です。
主に、
- オフィスビル
- 商業施設
- 病院
- ホテル
- 大型公共施設
などで採用されています。
この記事では、現場監督や設備担当者向けに、VAVの仕組み・種類・CAVとの違い・施工時の注意点についてわかりやすく解説します。
VAVとは?
VAVとは、
Variable Air Volume(可変風量装置)
の略です。
日本語では、
可変風量装置
と呼ばれます。
VAVは、ダクト内を流れる空気量を自動的に調整する装置です。
簡単にいうと、
「部屋の温度に合わせて送る風の量を変える空調制御機器」
です。
例えば、
室温が高い
↓
VAVが開く
↓
送風量を増やす
↓
室温を下げる
室温が設定値になる
↓
VAVが閉じる
↓
風量を減らす
という制御を行います。
VAVの役割
① 室内温度を一定に保つ
VAVは、室内温度センサーなどから情報を受け取り、風量を調整します。
これにより、
- 冷えすぎ
- 暑すぎ
- 部屋ごとの温度差
を防止できます。
② 省エネルギー化を実現する
VAV方式では、必要な場所へ必要な量だけ空気を送ります。
例えば、
人が少ない部屋
↓
必要風量を減らす
↓
送風機の負荷低減
↓
消費電力削減
につながります。
③ ゾーンごとの空調制御を行う
大型建物では、部屋ごとに空調負荷が異なります。
VAVを使用することで、
- 会議室
- 執務室
- 店舗
- 廊下
などを個別制御できます。
VAVの仕組み
VAVは、ダクト内に設置され、内部のダンパー開度を調整することで風量を制御します。
基本的な流れは以下の通りです。
VAV制御の流れ
① 室内温度をセンサーで検知
↓
② 制御装置へ信号送信
↓
③ 必要風量を計算
↓
④ VAV内部のダンパーを開閉
↓
⑤ 送風量を調整
↓
⑥ 室温を維持
という仕組みです。
VAVの構造
VAVは主に以下の部品で構成されています。
① ケーシング
ダクトと接続される本体部分です。
材質:
- 鋼板
- 断熱仕様鋼板
などがあります。
② ダンパー
風量を調整する羽根部分です。
VAVの中心となる部品です。
③ 風量センサー
ダクト内の風量を測定します。
測定した情報を制御に利用します。
④ アクチュエーター
モーターによってダンパーを動かします。
制御信号に応じて開閉します。
⑤ コントローラー
温度や風量を制御します。
VAVの種類
VAVには用途によってさまざまな種類があります。
① 単一ダクトVAV
最も一般的な方式です。
仕組み:
AHU
↓
ダクト
↓
VAV
↓
室内
へ冷風を送ります。
特徴:
- 構造がシンプル
- オフィスで多く使用
② 再熱VAV
VAVで風量を減らした後、再熱コイルで温度調整する方式です。
特徴:
- 温度制御が細かい
- 病院や研究施設で使用
③ ファン付きVAV
VAVボックスにファンを組み込んだタイプです。
特徴:
- 大空間向き
- 低騒音化が可能
④ 排気用VAV
排気量を制御するタイプです。
用途:
- クリーンルーム
- 実験室
- 病院
など。
VAVとCAVの違い
VAVと比較される設備にCAVがあります。
| 項目 | VAV | CAV |
|---|---|---|
| 名称 | 可変風量方式 | 定風量方式 |
| 風量 | 変化する | 一定 |
| 制御 | 温度に応じて調整 | 一定量送風 |
| 省エネ性 | 高い | 低い |
| 用途 | 大型施設 | 小規模施設 |
CAVとは?
CAVとは、
Constant Air Volume(定風量装置)
の略です。
常に一定量の空気を送る方式です。
VAVが向いている建物
VAVは、
- 部屋ごとの負荷変動が大きい建物
- 大型オフィス
- 商業施設
などに適しています。
VAVとダンパーの違い
| 項目 | VAV | ダンパー |
|---|---|---|
| 目的 | 自動風量制御 | 風量調整・遮断 |
| 制御 | 自動 | 手動または自動 |
| 用途 | 空調制御 | ダクト制御 |
VAVは、風量センサーや制御機能を持った高性能なダンパーと考えると分かりやすいです。
VAV設置時の注意点
① 設置場所を確認する
VAVは風量測定を行うため、安定した気流が必要です。
確認事項:
- 直管距離
- 曲がり部との距離
- 点検スペース
② ダクト接続方向を確認する
VAVには気流方向があります。
確認事項:
- 風向表示
- 上流・下流方向
- 接続状態
③ 点検スペースを確保する
VAVには、
- センサー
- アクチュエーター
- 制御部品
があるため、点検できる位置に設置します。
④ 電気・制御配線を確認する
VAVは自動制御設備です。
確認事項:
- 電源
- 制御線
- 温度センサー
- 中央監視接続
⑤ 風量調整を行う
試運転では、
- 設計風量確認
- 最小風量確認
- 最大風量確認
- 温度制御確認
を行います。
VAVの故障原因
風量が調整できない
原因:
- アクチュエーター故障
- ダンパー固着
- 制御不良
異音が発生する
原因:
- 風速過大
- ダクト乱流
- 部品劣化
温度が安定しない
原因:
- 風量設定不良
- センサー異常
- 制御設定ミス
現場監督が確認すべき施工ポイント
施工管理では以下を確認します。
✅ VAV仕様確認
✅ 設置位置確認
✅ 風向確認
✅ ダクト接続確認
✅ 点検スペース確認
✅ 電源・制御配線確認
✅ 断熱施工確認
✅ 風量調整確認
✅ 中央監視連動確認
特に重要なのは、
「VAV設置位置」「風量測定条件」「制御試験」
です。
まとめ
VAVとは、室内の温度状況に応じてダクトの風量を自動調整する可変風量装置です。
主な役割は、
- 室温制御
- 快適性向上
- 省エネルギー化
- ゾーン別空調制御
です。
大型建築物では、
AHU
↓
ダクト
↓
VAV
↓
吹出口
↓
室内
という流れで使用されます。
現場監督としては、
「設置位置」「ダクト接続」「制御配線」「風量調整」「試運転」
を管理することが、安定した空調設備につながります。
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