はじめに
空調設備の冷温水配管では、「エアセパレーター」という機器が使用されることがあります。
エアセパレーターは、配管内を流れる冷温水から空気(エア)を分離して除去するための装置です。
空調設備では、配管内に空気が混入すると、
- ポンプの異音
- 流量不足
- 冷暖房能力の低下
- 配管腐食
- 自動制御の不具合
など、さまざまなトラブルの原因になります。
この記事では、現場監督や設備担当者向けに、エアセパレーターの役割・仕組み・種類・設置時の注意点についてわかりやすく解説します。
エアセパレーターとは?
エアセパレーターとは、冷温水配管内に含まれる空気を分離し、配管系統から排出するための装置です。
日本語では、
- 空気分離器
- エア分離器
- 空気除去器
などと呼ばれます。
主に以下のような空調設備で使用されます。
- 中央熱源方式
- 冷温水循環方式
- ファンコイルユニット(FCU)
- 空調機(AHU)
- 放熱器設備
など。
なぜエアセパレーターが必要なのか?
冷温水配管では、施工時の充水や補給水、配管内部の腐食などによって空気が入り込むことがあります。
配管内に空気が残ると、以下の問題が発生します。
① 冷暖房能力が低下する
空気が配管内に溜まると、水の循環量が低下します。
その結果、
- 空調機に必要な冷温水が届かない
- 熱交換効率が悪くなる
- 部屋が設定温度にならない
といった問題が起こります。
② ポンプの故障や異音につながる
配管内に空気が混入すると、ポンプが空気を吸い込む状態になります。
これを「エア噛み」と呼びます。
エア噛みが発生すると、
- ポンプから異音がする
- 振動が発生する
- 流量が安定しない
などの不具合につながります。
③ 配管腐食の原因になる
水中に含まれる酸素は、配管内部の腐食を促進します。
特に鉄製配管では、
- 赤水
- スケール発生
- 配管寿命低下
の原因になります。
エアセパレーターの仕組み
エアセパレーターは、水と空気の比重差を利用して空気を分離します。
基本的な流れは以下の通りです。
① 冷温水がエアセパレーター内部へ流入
↓
② 内部構造によって流速を低下させる
↓
③ 水より軽い空気が上部へ集まる
↓
④ 自動エア抜き弁から空気を排出
↓
⑤ 空気を除去した水が配管へ戻る
という仕組みです。
エアセパレーターの構造
一般的なエアセパレーターは以下の部品で構成されています。
- 本体胴
- スクリーン(分離部)
- 空気溜まり
- 自動エア抜き弁
- 排気部
内部には細かいメッシュ状の部品があり、水の流れを変化させることで空気を分離します。
エアセパレーターの種類
エアセパレーターには、主に以下の種類があります。
① メッシュ式エアセパレーター
内部にメッシュ状の分離部を持つタイプです。
水がメッシュを通過すると、
- 流速低下
- 気泡の集合
- 空気分離
が行われます。
特徴:
- 高い空気除去能力
- 空調設備で多く使用される
- 比較的コンパクト
② 遠心式エアセパレーター
水流を旋回させ、遠心力によって空気を分離するタイプです。
特徴:
- 大流量に対応可能
- 大型設備向き
- 中央熱源設備で使用される
③ マイクロバブル式エアセパレーター
非常に小さい気泡(マイクロバブル)まで除去できるタイプです。
特徴:
- 微細な空気も除去可能
- 高効率な空調システム向き
- 最新設備で採用されることが多い
エアセパレーターと自動エア抜き弁の違い
似た機器として「自動エア抜き弁」があります。
| 項目 | エアセパレーター | 自動エア抜き弁 |
|---|---|---|
| 役割 | 配管内の空気を分離する | 溜まった空気を排出する |
| 対象 | 循環水中の気泡 | 上部に溜まった空気 |
| 設置場所 | 配管途中 | 配管最高部など |
簡単にいうと、
エアセパレーター=水中の空気を取り除く装置
自動エア抜き弁=集まった空気を外へ出す装置
です。
エアセパレーターの設置場所
一般的な設置場所は以下になります。
① ポンプ吸込側
ポンプへ入る前に空気を除去することで、エア噛みを防止します。
② 熱源機器出口側
冷温水発生後の配管で空気を除去します。
例:
- 冷凍機
- 温水ボイラー
- ヒートポンプ
など。
③ 配管メイン管
大規模施設では、冷温水主管に設置されます。
エアセパレーター設置時の注意点
① 配管方向を確認する
エアセパレーターには流れ方向があります。
本体の矢印方向と配管方向を必ず合わせます。
② 最高部ではなく適切な位置に設置する
自動エア抜き弁は最高部に設置しますが、エアセパレーターは水中の気泡を除去する目的のため、設置場所が異なります。
③ 前後のバルブを設置する
メンテナンス時に交換できるよう、
- 仕切弁
- ボール弁
などを設置します。
④ エア抜き弁の向きを確認する
上部の自動エア抜き弁が正常に作動するよう、水平・垂直方向を確認します。
エアセパレーターのトラブル例
空気が抜けない
原因:
- エア抜き弁の故障
- 内部詰まり
- 設置位置不良
冷暖房能力が低下する
原因:
- 配管内のエア残留
- 初期充水時のエア抜き不足
- 配管勾配不良
ポンプから異音がする
原因:
- エア噛み
- 吸込側の空気混入
- 水量不足
エアセパレーター施工時のポイント(現場監督向け)
現場管理では以下を確認します。
✅ 機器仕様と系統図の確認
✅ 流れ方向の確認
✅ 据付高さの確認
✅ 自動エア抜き弁の取付確認
✅ 保温施工前の漏れ確認
✅ 試運転時のエア抜き確認
特に竣工前の試運転では、冷暖房能力不足の原因として「配管内エア残り」が非常に多いため注意が必要です。
まとめ
エアセパレーターとは、冷温水配管内の空気を分離して除去し、空調設備を正常に運転させるための装置です。
主な役割は、
- 空調能力低下の防止
- ポンプのエア噛み防止
- 配管腐食防止
- 安定した冷温水循環の確保
です。
現場では目立たない機器ですが、中央熱源方式などの大型空調設備では非常に重要な役割を持っています。
空調設備の性能を十分に発揮させるためには、エアセパレーターの正しい選定・設置・施工管理が欠かせません。
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